2015年も東京大学運動会少林寺拳法部の部員の方々に「整法講座」を行ないました。
テーマは「指圧・マッサージ・腰痛改善法」です!
大会など本番の前に疲れを取るのは非常に重要な事です。
専門のコーチなどをなかなかつける事が出来ない学生の運動部において、自分たちである程度セルフに コンディションを整えられたら素晴らしいですよね。
そんな思いもあって、当院では毎年数回の整法講座を、こちらの少林寺拳法部で開かせて頂いております。
場所はこちら「駒場キャンパス」
(駒場東大駅の本当に真ん前にあります。駅を降りて数十秒。)
まずは、アシスタントの菜々香ちゃんの前説ですね。
(講座を受ける上でのご注意と、各担当の先生方の紹介!)
そして疲労回復の為の指圧・マッサージの基本の説明(理論編)に移ります。
担当は増田安寿先生です。
(ベンチプレス130キロを挙げるパワフルな男。)
指圧は「押し」「留め」「抜き」の3つの動きから成り立ちます。
そしてその基本は
「少林寺拳法の”当身の五要素”と同じ」なのです。
→まさに”武医同源”ですね。
(江戸時代の武術の道場主などは、接骨などが出来ないと道場を開く事が許されなかったのです。武術も医術も元は同じ所から発祥しているという事です。)
当身の五要素とは人体の急所への攻撃を効果的に利かすための法則で以下の5つから成ります。
①急所の位置(正確に当てること)
②当身の間合(適切な間合から攻撃すること)
③当身の角度(有効な角度で当てること)
④当身の速度(速い当身は効果が大きい)
⑤当身の虚実(「我の実」もって「相手の虚」を討つ)
これは指圧にとっても全く同じで
「指圧する位置・場所」→正確にツボを捉える。場所がズレていては到底効果は望めません。
「間合い」→受け手との距離が大切です。遠すぎず、近づきすぎず。突き蹴りであれば「一足一拳の間合い」となります。
「角度」→ツボに対して垂直に圧を加える。角度がズレていてはコリの”芯”を捉える事ができません。少林寺拳法で言えば、これは「剛法」での突き蹴りと同理論です。
「速度」→これは指を沈めて行く時のスピード、およびタイミング。早ければ良いというものではない。刺激を入れて行く時に受け手を不安にさせない速度。タッチの瞬間のスピードも重要です。
「虚実」→相手がフッと気を抜いた時に行なう圧は指圧においても、すごく効く圧になります。
(ボクシングで言うKOパンチと同じですね。選手が”フッ”と力を抜いた時に当たると軽い刺激なのに見事にノックダウンされてしまうなど。これを利用した整体技法が”やけどの治療”としてあります。今回は時間の都合上、ご紹介できなかったので次回以降に機会があればお教えします。)
→これは私も実体験した事があるのですが「本当に効果がある」のですよ。ビックリです。やけどの跡の残り方が全然違います。
という事になります。
だから武道で身に付けた技や感覚は、治療術(整法)においても凄く役に立つのです。
→武道で強い人は治療術でも腕の良い先生となる事が出来る!
だから「剛法」「柔法」「整法」で三法一体なんですね。
このような感じで背骨の両脇から指圧をしていきます。
中でも一番難しいのは、いかに「相手に対して”最適な圧”を加えられるかどうか」ですよね。
人によって、強さも感じ方も違うわけですから。
なので増田先生も講座の中でこうお伝えしています。
「最適な圧を常に考える。この良い”あんばい””さじ加減”っていうものが本当に指圧もマッサージも全ての手技療法の極意とも言えます。
最初は分からないと思う。つい押しすぎてしまったり、弱すぎたりとか。
だから、最初は相棒に聞いてください。
「どうかな?強すぎる?弱すぎる?」って。
そして相棒は、アドバイスしてあげる。育ててあげるわけですね。
自分が良い施術を受けるために。
相手を育てるのが”自分の役目”です。そうすれば必ず自分も返してもらえるから。
社会に出てからもそうですよ。リーダーの最大の役割は”部下を育てる事”スタバの岩田松夫社長も言ってますね。
「決して上司が偉くて、部下が偉くないなんてことは無いよ。」
「ただポジショニングが違うだけ。」
「野球で言えば、キャッチャーが偉くてセカンドが偉くないなんてないでしょ。なのに何故”上司だから”って偉そうにするのかな?」
自分が楽するためではない。部下のやった成果を良い所取りする事でもない。
君らだったらすぐ社会でも上の方に行っちゃうと思いますけれども上に立った時にこういう事を覚えておくと良いです。
少林寺拳法の「自他共楽」ってこういう所にあらわれてるんですよね。
「教え」は実践して行かないと意味ないです。折角開祖が良い事を教えてくれたんですから。」
という感じです。
→さすが増田先生!良い事言ってますね。
さあ、みんなで練習、練習!
本当の指圧は”指で押さない”んです。
ボディ、つまり「体幹部」を使って押すのです。
だから本来、(筋肉パワーによる)力は使わない。
ここで増田先生が一言。
「皆さん、指痛くないですか?痛いですよね。本当は整法だって、指を鍛えなくちゃいけないんです。 剛法と同じ。「拳立て」(腕立て伏せを拳で行う鍛錬法)して鍛えますよね?拳を。 整法を行うためには指を鍛えるんです。
指が強くないと、ツボをきちんと押し切る事が出来ないし、効果も出せません。
ツボを押すたびにフニャっと曲がってたらダメでしょう。身体の深ーい部分の悪い所を探す時(つまり検査の時)にも指の強さって大事ですし。
初日でいきなりは無理だと思うので鍛錬法だけお教えしておきますね。
拳立てと同じ姿勢で行うんですけれども、まずいきなりは無理なので両膝ついて良いですよ。出来る人は片膝ね。
まー、取り敢えず指立伏せは20回3セット位から始めてください。」
見本を部員の皆さんの前で見せて。
あとは、ひたすら練習あるのみ!
「肩のコリを”腰や足”を刺激して取る!」
そんな不思議な事も、整法の”経脈・経絡”の理論を使えば行なう事が出来ます。
実際、これを受けるとビックリするんですよね。(経絡技法の神秘!)
こういった事を、もっと沢山の人に体験してもらいたい!!
つづいて副院長の山本健太郎先生による「力を使わないマッサージ法」の講座。
基本、これも経絡技法を使います。
女性でも力のない方でも、効果が出せるように考案されています。
「肩のコリを取るツボは足のこの辺ですよ。」と説明する山本先生。
なぜあそこを刺激すると肩のコリがいとも簡単に取れてしまうのか?
実際に受けてみないとこれは多分、信じられないですよね。
そして部員の方から要望の多かった「道具を使ったセルフマッサージ」についても 今回はお話させて頂きました。
メチャ効くんですよね、これ。
素人がやっても「習ったその日から!」効果を出す事が出来ます。
最後に宮本啓稔院長の「腰痛改善講座!」です。
結構、運動をされている方って腰痛が多いんですよね。
もちろんオフィスで一日中パソコンを叩いていらっしゃる方も腰痛になってしまう人が多いです。
ただし! アスリート系の人の腰痛とデスクワークの方に出る腰痛とでは「治し方」が違います。
(ま、これは当然と言えば当然ですが。)
ただ世の中の治療院ではこの差について、明確にしっかりとした考えて治療に取り組んでおられる方が どれだけいる事か・・・。
→一緒にしている人が多いんですよね、治療法・アプローチが。
次回もしお時間があればその辺の事もお伝えできたら、と存じます。
では、皆さん最後に整列して。
皆さん、お疲れ様でしたー!!!