◆生理痛に対する東洋医学的な考え
東洋医学では人間が生命活動を行う上で「気」「血」「水」の3つが滞りなく体内を循環することが、とても重要であると考えています。
簡単に言えば「気」は“生命エネルギー”、「血」は“血液”、「水」は“体液・リンパ液”をイメージして頂くと分かりやすいと思います。
そしてそれら3つの体内循環のバランスが崩れたときに病気になる、と言う考えです。
つまりただ単に“生理痛”と言ってもその原因は人それぞれなので(同じ“セキ”でも風邪を引いて出るセキとアレルギーで出るセキでは、治療の考えも方法もまったく違いますね。そのように考えていただくと分かりやすいと思います。)
目の前の症状だけではなく、その人の根本的な体質の改善(木であれば幹)を治すことによって自然と生理痛という症状(木で言うと枝葉)も治る、という非常に優れた考えを持っています。
“生理痛がある”というのは、単なる毎月来る面倒な痛みではなく「あなたの生活習慣や体に対しての考え方のどこかに、間違いがありますよ。」という体からのメッセージが出ている、という事なのです。
どうぞこのような“体からの言葉“に耳を傾けて、間違いがあれば早めに軌道修正するように日々を過ごして、あなたの大切な体をいたわってあげてください。
以下、分かりやすいように会話形式で説明していきたいと思います。
A子さん:
先生、今日は“東洋医学から観た生理痛の考え方“について教えてください!
M先生:
分かりました。しっかりと教えちゃいます。東洋医学は独特な言い回しや、普段使わないような専門的な言葉がいっぱい出てくるので、なるべく分かりやすく説明させて頂きますね。
A子さん:
はい、よろしくお願いします!
まず、西洋医学と東洋医学では生理痛の考え方ってどう違うんですか?
M先生:
西洋医学では大まかに、子宮や卵巣など女性器官に子宮筋腫などの病気がある場合と、特にそういった原因が見当たらないのに症状が出ている場合の、2通りに分けているみたいですね。そして痛みが軽いうちは鎮痛剤などで、とりあえず生理期間の痛みだけをおさえて、ひどくなったら低用量ピルなどの避妊薬を使うみたいです。それでも駄目なら手術で筋腫を取ったり、子供を産む予定が無い人などは子宮を取ったりしているようです。
「悪いところがあるなら取ればいい」というのは、西洋医学の一般的な考え方です。もちろん切るのは、できるだけ最小限に抑えて、手術の傷口に対しても内視鏡や開腹手術などを使い分けて、なるべくダメージを与えないようになってきてはいるようですが。
A子さん:
鎮痛薬で痛みだけ抑えても、治ってるわけじゃないですよねー。私も人の事を言えないけど、今までは生理が来たら薬局で買った薬を飲んで、とりあえず痛みがなく過ごせればいいやって感じで思っていました。痛いのは1日目と2日目だけだったので・・・。
M先生:
痛みがあるっていうのは、「どこかがおかしい。」っていう身体からのメッセージなんですよー。他の痛みがある時は、みなさん色々と対処するんですが、あまりに“生理痛”っていう言葉が一般化し過ぎたためか、生理痛があるのがあたりまえっていう感覚になっているのかもしれませんね。
A子さん:
確かにそうかも・・・。で、先生、東洋医学の考えは?
M先生:
東洋医学の基本的な考えは、“身体の流れの循環が整っていれば病気は無く、そのバランスが崩れた時にあらゆる病気が起こる”という考えなんです。その流れっていうのは「気」「血」「水」の3つです。
A子さん:
「気」「血」「水」ですか?
M先生:
そうです。分かりやすく言えば「気」はその人の生命エネルギーです。“やる気”“元気”など言葉としては一般でも使われていますよね。考え方はその先生や流派によって多少の違いはあるとは思いますが、私は精神エネルギーも含んで「気」としてとらえています。
A子さん:
「血」は血液の事でしょうか?
M先生:
細かく言うと完全にイコールではないんですが、大体そうとらえて頂いて良いと思います。西洋医学との大きな違いは、“気が血を導く”と言って、気の流れが血流にも大きく関係するというところでしょうかね。気功や太極拳などをやって、手や体が温かくなったり、病気が改善したりするのもこの働きが関係していると思います。
私も軽い風邪など引いたときは、気功を30分くらいやって汗を出すと、それで治ったりしています。
A子さん:
へー、私もやってみようかな。で、「水」ってなんですか?お小水とか鼻水とかですか?
M先生:
え・・・。と、まーそれも含んだ体液全般の事ですね。この「水」の循環が悪くなって体内に溜まったりすると、“水毒”といって、ドブの水のように濁って体に色々悪さをするんです。それから、体に「水」がずっと溜まったままでいると、体温が低くなって“冷え”になります。これの水はけを良くするのが“腎”(西洋医学でいう腎臓に近い)です。つまり、冷え性の人はほとんど全員が腎が弱くなっているんです。足裏マッサージなんかでも、冷え性の人には腎臓の反射ポイントを揉んだりしていますね。あれは東洋医学的にみても正しいです。
A子さん:
ふむふむ。という事は、どんな生理痛でもこの3つの循環のどれかが悪くなっているという事なんだー。で、これが良くなれば生理痛も改善されるんですね。
M先生:
そうです。3つの循環のバランスの崩れのパターンは色々あるんですけれどね。
A子さん:
あ、先生。鍼と整体との違いは?私、鍼が苦手なので、できれば整体でなんとか治して欲しいんですけど・・・。
M先生:
整体でも気を流したり、骨盤や背骨を整えて血や体液の流れを良くしたりするので、“目的”というかゴールは同じです。あと、それに加えて特殊なやり方なんですが、私の場合は“お腹の深い部分にあるコリ”を取っています。これは体を根本的に変える意味でも、痛みを取るための即効性という点でも、非常に効果を出しています。
A子さん:
そうなんですかー。安心しました。
M先生:
けっこう鍼が苦手、という方はいらっしゃるようですね。まーイメージ的なものでしょうけど。そういう方も当院では、たくさん通っていらっしゃるので、大丈夫です!もちろん打てる人には打ちますよ~。効果ありますしね。特に腰痛なんかの“痛み”に関しては。
A子さん:
お腹のコリって初めて聞きましたけど、なんなんですか?それは。肩こりと同じようなものですか?
M先生:
“コリ”という点では、体のどこでも同じものです。ただ、コリでも「そこの場所自体が悪くてコッテいる」場合と「他の場所が悪くて、その反応で体の関連する所がこる」場合の2つがあるので注意が必要ですね。
後者の場合は例えば、“腎結石で腰が痛い”や“ガンで背中が痛い”などですね。
A子さん:
やだ、怖―い。脅かさないでくださいよ~。そー言えば、私ずっと机に向かっていると背中が痛くなってくるんですけど、ガンかしら・・・。
M先生:
んな事ないと思いますけど、心配なら病院へ行ってキチンと検査してもらったらどうですか?でもガンの場合は、夜、寝ているときに何もしていないのに強い痛みが出たり、鍼を何度してもすぐにまた、戻ってしまったりなどしますので、違うような気がしますが。
A子さん:
あー、良かった。でも今度ちょうど会社の健康診断があるので、一応相談してみます。
M先生:
そうですね。一応ね。なんともなければ安心して、治療を受けられますしね。だいぶ話が脱線したので元に戻しますけど、A子さん、コリって筋肉が硬くなったものだと思います?
A子さん:
ん?えーと、そうだと思いますけど、先生がわざわざ聞くぐらいだから、多分違うんでしょうね。わかんないッス。なんですか?コリって。(今までそんな当たり前のこと、考えた事もなかったよ・・・。)
M先生:
筋肉って言うのは繊維ですよね。筋繊維って言うくらいだから。でそれは1本1本の糸みたいな筋肉の集まりが束になったものなのですよ。で、その1本1本の筋肉には“筋膜”っていう膜に包まれているんです。
A子さん:
なるほどなるほど。
M先生:
そして筋肉が炎症を起こすと、その筋膜の表面がベトベトしてきて、くっついたりからまったりするんです。そのカタマリが「コリ」なんですね。だから“筋肉自体”が硬くなったわけじゃないんです。もし、そうならすぐに柔らかくなったりしないですよ。本当に繊維が変質してるならね。で、どうすれば良いかというと、くっついているんだから、“はがして”あげればいいんです。
A子さん:
“はがす”ってどうやって?
M先生:
あーやって。(笑)と、いうのは冗談ですけど、そういう方法があるんです。でもこれは企業秘密ですよ~。
治療を受ければ分かります。
A子さん:
普通のマッサージと違う?
M先生:
違う違う。一見同じようにみえるかもしれませんが、全然違います。色々身体の反射を使ったりとか、直接やったりとか・・・。ところでマッサージについてなんですが、揉みますよね、グリグリと。
A子さん:
ええ、私なんか週1くらいで、よくマッサージに行ってます。もう、コリ過ぎちゃってムギューってやってもらわないと効かないんですよね。気ん持ちいいんだこれが。スッキリするんだけど1日しかもたないのが欠点なんですよね~。
昔はもうちょっと軽くても、3日ぐらいは効いたんですけれどねー。最近はダメだね、コリャ。
M先生:
うん、そりゃそうですよ。先程も言ったように筋肉は“炎症を起こして、くっついてからまってる”のですから、くっついているものを揉んでも、取れるわけは無いでしょう?いったん緩んだように感じるのは、筋肉がグッタリしてヘナヘナになっているだけです。コリが取れているわけじゃないんですよ。その証拠に次の日とかには、戻るし、何年通い続けても良くなったりしないでしょう?続けていれば、だんだんと長い間、良い状態が保てるようになるのが本当なのに・・・。逆に効かなくなっているのは、強い力で揉まれ過ぎて、肩や背中の筋繊維が潰れて空手家の“拳ダコ”みたいになっているんですよ。
A子さん:
えーっ!そんなあ・・・。戻るのかしら?戻らなかったら死のう・・・。
M先生:
イヤイヤイヤ。(笑)死ななくてもいいですよ。大丈夫です。時間はかかりますが、そういうのも正しく治療すれば元に戻ります。私の治療は続けていると、逆に感覚が良くなってきて少しの刺激で効くようになるんですよ。
「感覚が鋭敏」っていうのは、健康だという事です。鈍い人、鈍感な人は病気である、というのが整体の考え方なんです。これは痛みに対して根性というか耐性があって痛がらない、という場合とは別次元の話です。
A子さん:
良く分かりました!とにかく、お腹のコリを取ったり、体の歪みを治したりして、骨盤の中の血の流れを良くすれば、生理痛が治るということですね。
M先生:
そうです、そうです。では次回はもう少し詳しく、色々な生理痛の出る原因を、東洋医学の観点からパターンごとにご説明させて頂きますね。
A子さん:
はい、先生!次回もよろしくお願い致します。
M先生:
こちらこそお願い致します。