首の痛み
首の骨は成人で5キロ以上にもなる思い頭蓋骨を支えているため、非常に負担のかかりやすい部分です。
首の痛みがある場合、中には重篤な疾患につながる事もありますので、まずはその痛みが病院で精密な検査を受けるべきなのか、それとも保存療法あるいは鍼灸・マッサージ・整体で対処できるのもなのかを鑑別する事が非常に大切です。
直ぐに病院で精密検査を受けた方が良い首の痛みの特徴
以下の症状が出るような場合は、すぐに病院などで精密な検査をお受けする事をお勧めいたします。
特に高熱も併発している首の痛みは組織や椎間板が細菌感染を起こしている事がありますので治療が遅れると手足の麻痺や命にかかわる場合もあります。
- 首を動かさなくても痛みが続く
- 激しい頭痛やめまいがある。
- 嘔吐がある。
- 高熱が出る。
- 手足がうまく動かせない。
これらのものに該当しない首の痛みの場合、鍼灸・マッサージ・整体などで適応可能です。
首の痛みの原因
頸椎捻挫・外傷性頚部症候群
首の関節に強い力がかかった時に、骨をつなぐ靭帯や筋肉が引き延ばされ、耐えきれず挫傷してしまったり切れてしまう事があります。
これがいわゆる「捻挫(ねんざ)」です。交通事故あるいはスポーツによる衝突などで頸椎捻挫が起こると、長期間にわたって痛み・頭痛・めまい・手のしびれなどの症状が続く場合があります。これは外傷性頸部症候群とも呼ばれます。(いわゆる衝撃による”怪我の後遺症”です。)
頸椎症
加齢などによって椎間板がすり減って薄くなり、の柔軟性が低下すると、骨同士のクッションの力がが弱くなり、頚椎そのものに強い力がかかって変形を起こしやすくなります。(頸椎ヘルニアなどと比較して壮年者に多い病気です。)
その変形した頸椎あるいは椎間板や肥厚した靭帯によって、後方にある脊髄神経が圧迫され首・肩・手に痛み・しびれ・力が入らない・厚い手袋をはめたような鈍い感じ(感覚異常)首を後ろに倒すと肩や腕が痛む、といった症状が起こります。
悪化すると脚の痺れ・ころびやすい・脚が動かしにくいなど下半身の症状や排せつ障害(尿が出にくい、トイレが近い、便秘など)が出る場合もあります。
このような症状が出た場合、即刻近隣の病院で検査を受けるようにする事をお勧めいたします。
頸椎椎間板ヘルニア
首の骨(頸椎)は7つの骨から成っており、間に「椎間板」と呼ばれるゲル状の組織によって重力による負荷や衝撃を吸収する構造になっております。
この椎間板が長い間の不良姿勢や加齢あるいはスポーツなどの外傷などによって後方に飛び出して脊髄神経や、そこから枝葉となって伸びる神経根を圧迫する事によって、首の痛みや腕や指の痺れ、肩甲骨の間の痛み、握力低下や感覚鈍麻などを引き起こしたものが頸椎椎間板ヘルニアです。最初は字が書きにくくなったりシャツのボタンがはめづらくなったりなどの感覚障害ですが悪化すると排尿や排便の障害や、痛みの為に夜眠れなくなる場合もあります。
頚椎症が50歳以上の中高年の方に多く見られるのに対して、椎間板ヘルニアは30~40歳代の比較的若い世代にも少なくないのが特徴です。首の障害においては最も多くみられる症状です。
頸椎椎間板ヘルニアのチェック法
神経が圧迫されているかどうかを確認する方法があります。
腕を伸ばして手を握る(グー)、開く(パー)をなるべく早く繰り返す。
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10秒間に10回できない場合は、圧迫されている可能性があります。
(20回以上できれば圧迫は無いと考えらます。左右行なうようにしましょう。)
後縦靭帯骨化症、黄色靭帯骨化症
首の骨を支える靭帯が分厚くなり、骨化する事によって後方にある脊髄あるいは神経根を圧迫するものです。それによって、首の痛みや手指の痺れ、感覚の鈍さや脱力感が起こります。
比較的、中高年の方に多く頚椎症とよく似た症状が現れます。
この疾患は血糖値が高い人に多くみられることから、糖尿病とも関係があるのではないかと考えられています。
胸郭出口症候群
胸郭出口症候群とは、鎖骨の周りで腕神経叢という、手や指につながる神経や血管が圧迫されて、首の痛み・手の痺れ・肩こりなどが起こるものです。
特徴として「バンザイをする・つり革をつかむ・洗濯物を干す」など腕を挙げるような動作で痛みが強く出る事が多いようです。原因としては慢性的な身体の歪み以外にも、なで肩などの体格や生まれつきの構造、あるいは交通事故などの外傷によって発症する事があります。
寝違え
「寝違え」は、睡眠中の姿勢の悪さによって首に持続的な圧迫(血行不良状態によって筋肉が固まる。)あるいは瞬間的な負荷(ガクッっという衝撃)によって頸椎周辺に「肉離れ」のような症状が起こったものだと考えられています。(睡眠中は、起きている時のような意図的な姿勢の保持が出来ないので、姿勢が崩れた時に補正する事が出来ない為、起こるようです。)
お酒を飲んだ後は、筋肉中の血行が悪くなり寝返りの回数も減る為起こる確率が増えるようです。
むち打ち症
むちうち症は、事故直後に痛みや不調を感じず、3カ月あるいは半年たってから徐々に痛み出して、耐えがたい痛みへと移行するという特徴を持っています。
ストレートネックによる首の痛み
頸椎の湾曲カーブは正常であれば30度~40度であると言われています。このカーブが長い期間の不良姿勢などによって崩れてしまったものが「ストレートネック」です。
この状態になりますと5キロ以上の重さを持つ頭蓋骨の負荷を支えきれなくなるため(重量のある板を中心ではなく端の部分で支えているような状態になる)非常に首の筋肉に負担がかかって、痛みを起こす事ああります。
首の痛みの鍼灸・整体による治療法
整体では、首の痛みが出ている場合、まず骨格の歪みを診ます。
歪んでいる部分は、組織が硬直を起こしているため、その部分の可動性を回復させてあげるだけで周りの筋肉も緩み、血液循環も回復していきます。
調整の方法は、アクティベーターと呼ばれる骨の不整列を治す専用の機械や手技など多種多様な方法の中から、その患者さんにとって最適な方法をピックアップして行っていきます。
その後に、東洋医学的な流れ(これを経絡と言います。)に沿った、異常を起こしている部分に対応した腕や足のツボに刺激を加えていきます。
こういった遠隔治療は、炎症を起こしている部分を直接触らない為、急性期の寝違えのような方にも安心してお受け頂けます。
代替医療においては「フラクタル理論」と言って”部分は全体を包括する”という考え方があります。
分かりやすく言えば「耳つぼ」「足ツボ」「手の平療法」のようなもので、身体の一部のあるエリアが、全身の各内臓や関節に対応している、というものです。「足裏のこの部分が”胃のエリア”です。ここが痛いという事は胃が疲れてますね。」などと足ツボのお店で言われた事あるかと思います。
臨床上「カカトが頭」「ふくらはぎが首」という対応をしている事が経験的に分かっておりますのでこれらのツボである「委中・崑崙・飛陽・承山」などを使って首の痛みを改善する事を得意としております。
痛い部分から、全く離れたこれらのツボを刺激する事で、改善してしまう事に東洋医学の奥深さと楽しさを日々感じて施術を致しております。
自宅で行う予防法
肩甲骨ストレッチ
強い首の痛みや肩こりのある方は、ほとんど全員が肩甲骨の歪みを持っています。実際このように根深い肩こりには、多少肩自体を揉んだり引っ張ったりしても、ほどんど効果は見られません。
だからといって無理にグリグリと揉んでしまっては、肩の毛細血管が潰れてしまい、余計に肩の筋肉が硬くなり症状は、より慢性化し、ひどくなってしまいます。
これは、そんな重い肩こりの根本原因の一つである肩甲骨の歪みを調整するストレッチ法です。
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まずは肩甲骨の水平回転です。
両手の平合わせて後ろで組んで、両腕を左右に大きく振るように水平回転させます。この時意識は腕を振るのではなく、あくまでも根本のを肩甲骨を動かすつもりで大きく動いてください。(そのために多少、上半身も一緒に動いてしまってもかまいません。)時間は1~2分間です。 -
次に、肩甲骨の横倒し運動です。
左肘を曲げ(左手の平は下に向けます。)右手で左手首を手の甲の方から持ち、下に押し下げます。それと同時に上半身を左に傾けます。
これで左脇の下が伸ばされ(肩甲骨が横に倒れる動き)右脇腹もストレッチされます。(これはコツを掴むまで少し難しいかも。)左右90秒間行ないます。 -
最後に肩甲骨の前後の運動です。
左肘を自分の正面に向くようにしてから、肘のの少し上を、右手の平で背中の方向に向かってグーッと押します。それと同時に上半身も後ろに倒します。
肩甲骨が後ろに倒れるイメージで行なってください。左右90秒ずつです。