頭痛について
頭痛の原因は様々なものがあります。神経が大きく関わっているものから血圧などによる血管からの症状。首から肩、背中にかけての筋肉が原因のものまで沢山の種類があります。
神経が大きく関わっているもの
偏頭痛
症状
首の後ろの上の部分から頭、目頭の辺りまでズキズキ痛む頭痛のことをいいます。脈を打つような痛みだったり、中には目頭の辺りにチカチカ火花が散ったりするような症状が出る方がいます。痛む範囲が頭の後から前方に及び、範囲がたまねぎの皮をはがしたような形なので、オニオンペール状の範囲といったりもします。偏頭痛(片方の頭のいたみ)ですが、両方の頭がいたくなる方もいます。週に1,2回くらいの頻度でる方が多く、頭痛のため正常な日常生活に支障をきたします。いったん痛みが出るとひどい方は3日間ぐらい続くこともあり、痛みによる緊張から首や肩の痛みや頭痛の気持ち悪から吐き気を伴うこともあります。
原因
一般的にいわれているのは、脳神経(頭から出ている神経)の中の三叉神経(さんさしんけい)が原因と言われています。三叉神経は名前のごとく三つに分かれている神経で目の方向かってあるものと、顎の上の方と下の方に向けてあるものと分かれます。ストレスやアルコール、女性の中には生理などのホルモンバランスの変化、他の何かの刺激により脳の血管が広がり、神経を圧迫した結果炎症が起こり、神経の走行に対して痛みを出します。中には三叉神経ではなく、首の後から頭の前の方にある大後頭神経(だいこうとうしんけい)などが原因して偏頭痛様の症状が出る人もいます(緊張型頭痛)。
対策と治療
病院では偏頭痛の為の薬によるコントロールが主な治療ですが、原因を軽減するためにストレスをコントロールすることが必要です。日常でもアルコールの摂取をなるべく控え、睡眠なども影響する事から寝過ぎや寝不足をなくし規則正しい生活に心がけてください。そして、首肩周りの緊張を起こさないよう、肩や腕を大きく動かして血液の流れを良くしてあげることが大切です。頭痛が起きたときは傷む部分に冷たいタオルなどを当てて冷やし、静かな場所でゆっくり休んでください。
緊張型頭痛
症状
偏頭痛の原因と症状にも先ほど挙げましたが、首の後から頭の前にかけてある大後頭神経(だいこうとうしんけい)などの神経が首や肩周りの筋肉の緊張緊張により刺激され痛みを出す頭痛です。筋肉にストレスがたまり、目の疲れや疲労感を感じ頭痛の症状が出ます。中には偏頭痛も伴った症状を出す人もいます。筋緊張型頭痛は偏頭痛とは違い、重く鈍い痛みが出ます。吐き気を伴うこともないので市販の頭痛薬でコントロールしそのまま放置してしまう人も多いのですが、根本的な原因を取り除く治療ではないので、姿勢を良くしストレスコントロールで改善することが多いので、しっかり理解することが必要です。
原因
デスクワークなどによる首回りの姿勢不良による持続的な筋緊張から起きるのが主な原因です。
※デスクワークによるストレートネック
本来、背骨の形は右の図のようになっています。前に向かってカーブする頚椎(けいつい)、後に向かってカーブする胸椎(きょうつい)、そして前に向かってカーブする腰椎(ようつい)です。
しかし、デスクワークなどではつねに画面や下の物を見ながらの作業なので、頭が前に傾いてしまいます。そして頚椎はカーブがなくなりまっすぐになってしまいます(左の図参照)。これをストレートネックといいます。首は本来、自然なカーブをしているのが筋肉の緊張がなく、負担の少ない姿勢ですがストレートネックの状態では常に頭を支えるための筋肉が働き、緊張してなくてはいけないので周りの神経にも刺激が及び頭痛を引き起こす原因となります。そして、長時間デスクワークのストレートネック姿勢に「くせ」がついてしまうと、日常的にも首の姿勢が悪くなり、仕事をしていなくても痛みが出るようになる方もいます。
正しい背骨のカーブ
対策と治療
筋肉の緊張によるものなので、筋肉の「こり」をとってあげることが必要です。首回りや肩周り、背中にかけての運動やストレッチが有効です。そして、デスクワークの長い方は時々休憩時間を入れ、「はっ!」と気づいたときに前を向き、首回りの筋肉を休ませて緊張を取ってあげてください。偏頭痛と違い、温めることが重要です(偏頭痛の場合は冷やす事が重要)。首の姿勢を良くする(ストレートネックを改善する)方法として有効なのは壁に背中から寄りかかり、頭を壁に当ててください。ちょうど良い首のカーブができるかと思います。
高血圧により引き起こされる頭痛
症状
突然、血圧が上がり、心臓から送られる動脈で首の中を通っている動脈(椎骨動脈・ついこつどうみゃく)に負担が掛かり、頭痛を引き起こします。心臓の拍動にあわせて首から頭に掛けてガンガン響くような痛みが出ます。
原因
血圧は日常的に変化します。ドキドキ緊張しているときは血圧が高くなり、心が落ち着きユッタリしているときは血圧が下がり安定します。このようにストレスの変化により血圧が変わりますが、天候や温度により影響もされます。基本的に温度の高いときには血管は拡張し、血管内の血液はゆったりしますので、血圧は下がります(高血圧症の方は熱いときになると、血圧が下がりすぎて動きづらくなることもあります)。そして温度が低く寒いときは、血管が収縮し、血管内の血液は窮屈になり、血圧が上がります(高血圧症の方は温かい所から急に寒い所に移動するときは注意してください)。
血圧が異常に高くなり、首の血管に負担が掛かり頭に一気に血が通い、頭痛を引き起こします。これは血圧が高くなったときに引き起こす症状なので、特に高血圧症をお持ちの方は起きやすいので普段から医師に相談し薬などで血圧をコントロールすることが重要です。
対策と治療
血圧が上がるときに起こる頭痛なので、高血圧症の方は普段から血圧を計り自分の体調を知るようにしてください。そして、医師と相談し症状の治療に努めてください。温かい所から急に寒い所に移動するときには急激に血圧が上がりますので、高齢の方も注意が必要です(これは頭痛だけの問題ではなく、脳卒中を引き起こす原因にもなります)。この頭痛に関しては異常な症状や病気に繋がることが多いので、症状が出たときは早めに病院に行き原因を知ることが大事です。
危険な頭痛
髄膜炎
細菌感染などにより脊髄に炎症が起こり、体温は38度を超え、背中全体から頭にかけて強い痛みが出ます。強い炎症から首や背中、腰を動かすことが困難になり、症状が強くなったときは意識障害を起こすことがありますので、この様な症状が出たら直ちに病院に行くことをおすすめします。
クモ膜下出血による頭痛
何かの原因で脳内の血管から出血し頭の中に血がたまり、脳内を圧迫され、激しい頭痛が出ることがあります。これは「クモ膜下出血」と言い、命に関わることになります。突然の激しい頭痛が起き、手足が動かなくなったり、倒れたりすることがあります。この場合はいち早い処置が必要になりますので、この様な方を見たらすぐに救急車を呼んでください。
東洋医学(鍼灸)整体による頭痛の施術法
頭痛の場合も、やはり局所の問題ではなく全身を1つのユニットとして考えます。
東洋医学的には、頭痛が出る方は「上実下虚」つまり血液や気が頭の方に上がりっぱなしになっていて、足が冷えていると考えます。(いわゆる”のぼせ”のような状態です。)
ですのでふくらはぎから下の足三里ラインにある血流活性化のツボを刺激。
そして「血海」や「陰陵泉」といった足の内側、あるいは斜め前内側にあるツボにアプローチして”脾”の働きを高めます。(東洋医学では脾は「血液を司る」と言われています。)
その上でお腹にあるオ血つまり”血の濁り”を取るツボである肝臓系統の反射ポイントを刺激し、最後にこめかみにつながる腕周りのツボ、そしてふくらはぎにある後頭部を緩めるポイントに刺激を入れていきます。
ここまでで、首あるいは頭に触らずして、上半身はかなり緩んでいますが、締めくくりとして後頭部や側頭部、首回りに残った硬結を緩めていきます。
高血圧が原因で起こる頭痛の場合は血圧を整えるツボである「内関」とホルモン・自律神経系統の異常に効果的な「三陰交」の2つのツボをセットで施術いたします。
その上で、血圧が高い方は背中がパンパンに張っていることが多いので背骨の両側にある兪穴を刺激して、内臓の機能を活性化するとともに背部にある硬結を取り差します。
場合によってはこれに骨格矯正の専門用具であるアクティベーターあるいはブロックを使って脊椎の可動性を高めるとともに歪みの矯正も行ないます。