足首の痛みについて
足首の痛みには明らかな原因があるものと明確でないものがあります。
まずは原因がはっきりしているものから述べていきます。
原因がはっきりしているもの
捻挫
足を踏み外したり捻ったりして関節が通常の動きとは違う大きな力が加わり、骨と骨を繋いでいるじん帯や関節を痛める事です。痛め方によっては関節やその周囲の骨を痛め、骨折する事もあります。痛め具合にもよりますが、ひどい場合には関節周りの内出血による腫れが起こり熱を持ちます。
捻挫の中で特に多いのが外側のじん帯(前距腓じん帯)です。
じん帯は関節が不安定にならないように支える事と、不安定な所を歩くときや運動時のステップ動作でバランスを感じ取る役目があるので非常に重要な所です。しかし、捻挫によってじん帯が伸びたり切れたりすると足首が不安定になりバランスが保ちにくくなります。怪我をして足首を痛めたら、まずは整形外科に受診をする事をおすすめします。
治療法としては痛めた患部の安静を保つために足首を金具や樹脂などを使って固定をし、関節の周りで内出血した出血を早く抑えじん帯の修復を待ちます。場合によってはギプスによる固定をする事もあります。
固定が外れたら少しずつ関節を動かし、筋力を回復させながら元も状態に戻れるよう感覚を取り戻していきます。
当院では捻挫をした後の動きにくくなった関節の動きを戻したり、関節が固まりゆちゃくをおこしてしまったゆちゃくをはがしたり、足回りの弱くなった筋肉に刺激を与えたりして早く元の状態に戻れる為の治療をしています。もちろん、昔痛めた足首の古傷を治療する事も可能です。
足関節炎
通常とは違う足の使い方や走りすぎや歩きすぎにより足首に負担がかかりすぎ、痛みが出て関節が腫れる事を足関節炎といいます(中には昔捻挫でじん帯を痛め、関節が弱くなり関節炎を起こしやすい方もいます)。足にかかる過度の負担が原因で起こしたものですから、炎症が強い期間は安静が必要です(場合によってはサポーターなどの固定が必要な場合があります)。
痛める原因の中で筋力が弱く関節をしっかり支え切れてなく、関節の動きに硬さや異常があり、炎症が起こりやすくなっているものが多くあります。当院では関節周囲の組織のゆちゃくを取り除き、関節を本来の動きに戻す治療や再発予防の為のトレーニング指導も行っていますのでご相談下さい。
シンスプリント
運動選手で過度のトレーニングや悪いフォームで競技をし、すねの内側が痛くなる症状です。症状が強くなってくるとすねの内側からふくらはぎの張りが強くパンパンに張れてきます。初期は運動中の痛みだけですが、ひどくなってくると日常的にも痛みが続くようになります。よく、疲労骨折と間違う事もありますが、更に痛めた結果疲労骨折になる方もいます。
シンスプリントになる方は足の筋力や柔軟性が弱い方が多くいます。痛みの強いときは競技の一時中断や安静が必要になってきますが、当院では原因となる筋肉の柔軟性を取り戻す為のマッサージやストレッチ、筋肉の張りを和らげる鍼治療などをおこなっております。もちろん、競技パフォーマンスを低下させないための指導も行っております。
疲労骨折
激しいスポーツにおけるジャンプや走る動作によって繰り返し骨に刺激が加わりすぎて骨折が起きます。足首の疲労骨折はすねの骨や足の甲の骨が主に起きやすいところです。すねの疲労骨折が起きる前はすねの周りの筋肉痛のような症状が続きますが、次第にすねの骨自体に痛みが起きるようになります。通常の骨折と違い、痛めた初期はレントゲン写真に骨折が写りにくい事と痛みがあってもどうにか歩けてしまうため、無理に競技を続けて大きな骨折へとなってしまう事があるので注意が必要です。疲労骨折はシンスプリントと違い骨折特有の症状がありますので、診察する事によりある程度の診断は可能です。そして、骨折の症状が出てから10日から2週間ぐらいでレントゲン写真上にも骨折の所見が出てきます。
治療としては足を使わないように固定をし、骨がつき始めてきたら少しずつ足を着き元の状態に戻していきます。
治療のため、しばらく足を使わないために関節が固まったり筋力の低下や足回りの筋肉が硬くなったり組織のゆちゃくにより、足が使いにくい(歩きにくい)症状が残る方がいます。当院では足の動きを元に戻すためゆちゃくを取り筋肉の柔軟性や関節の動きをなめらかにする治療を行っております。
アキレス腱炎
長距離を走ったり、ジャンプ動作にてふくらはぎの筋肉に繋がっているアキレス腱に負担がかかり炎症が起きます。症状としてアキレス腱部の痛みですが、アキレス腱は歩くために必要なふくらはぎの筋肉に繋がっているので、歩く動作でも痛みが起きます。炎症が治まるまでに安静にすることが大事ですが、日常生活で常にふくらはぎの筋肉を使うので症状が慢性化することも多くあります。中にはアキレス腱の通りをよくするために緩衝剤のようなもの(滑液包)が腫れてアキレス腱の通りが悪くなり痛みがでるものもあります(アキレス腱周囲炎)。
アキレス腱部に負担がかかりすぎるのが原因ですが、正しい身体の使い方が悪く全身のバランスが悪くて症状が起きてしまうことがよくあります。当院ではふくらはぎの筋肉に限らず、全身の調整をし身体のバランスを整えてアキレス腱部にかかる負担を減らす治療も行っております。
足根間症候群(そっこんかんしょうこうぐん)
足首の内側後方には脛骨(けいこつ)神経という神経の通り道があります。何かの原因で神経の通り道を圧迫することにより、足首の内側から足の裏にかけて痛みやしびれといった症状が出ます。神経を圧迫する原因としては外傷性の物から腫瘍などです。外傷性のものでしたら、保存的に治療を選択しますが、症状が長期にわたり軽減しなかったり腫瘍などが原因なら腫瘍を取り除いたり、圧迫された神経を介抱する手術をします。
病院での診療もおすすめしますが、神経症状によるしびれや痛みは鍼治療が非常に良い効果を出します。
原因のはっきりしないもの
有痛性外脛骨(ゆうつうせいがいけいこつ)
成長期のお子様(10〜12歳ぐらい)によく見られる症状で足の内側にある舟状骨といわれる辺りに起こる痛みです。舟状骨には、ふくらはぎの内側にある後脛骨筋という筋肉が内くるぶしの後を通って着いている部分です。成長途中において骨と筋肉の成長バランスが不安定なときによく起きます。中には筋肉に引っ張られすぎたりして舟状骨の形が通常より長くなったり、舟状骨が分かれて2つになったりする事もあります。症状として足の内側にある舟状骨部分を押すと痛みがあります。そして、ひどくなると運動時にこの部位に痛みが出るようになります。
身体の成長が落ち着く頃に痛みは落ち着きますが、この症状がある方のほとんどは全身のバランスが悪かったり、特定の筋肉の柔軟性が悪かったりする方です。当院ではバランスを整えるための治療や筋肉の柔軟性を取り戻すストレッチやマッサージ、そしてパフォーマンスを落とさないための指導をしております。
足関節炎
原因がはっきりしなく関節が腫れて痛む事があります。
中には関節リウマチにより関節が腫れて炎症を起こしているものや関節内や周囲に細菌が入り炎症が起きる事があります。
原因不明で足首に痛みや炎症が起きた場合は早急に整形外科などの医療機関に受診する事をおすすめします。
痛風
身体の血液内に大量の尿酸がたまり、関節内で結晶化し通常とは考えられない痛みや腫れ、熱をもつ症状です。風が吹いても傷む事からこのような名前がつけられました。通常、痛風は足の親指の関節に起きると言われていますが、関節でしたらどこでも起きます。その中で足首の関節にも痛風は起きます。
激しい痛みは3日間くらい続き、症状としては1〜2週間ほど続きます。病院での診療をおすすめし、痛風の原因となった血液内の尿酸をコントロールする日常生活の改善や病院で処方される薬物による治療が必要です。