顎関節症
人間は1日に2000回以上アゴを開閉させていると言われていますが、このアゴが何かの原因で動かしにくくなったり、痛みが出たりする事を「顎関節症(がくかんせつしょう)」と言います。
具体的には、口を開こうとするとアゴの関節に痛みが走る、あるいは食事の時に大きく口を開けられない、開閉の時にクリック音(コキコキという事)がする、などの症状が現れます。
またアゴの関節周りの症状だけでなく、頭痛、肩こり、腕の痺れ、めまい、耳鳴りなども伴う事もあります。
顎関節症の自己チェック表
- 口を開閉する際、耳の前の辺りでコキコキと音がする
- アゴを動かす時、耳の前やこめかみ、アゴの付け根に痛みが出る(特に口を開く時など)
- 食事中や長時間、会話とした時にアゴがだるくなったり疲れる
- 耳の下やアゴの付け根を押すと痛みを感じる
- 大きなあくびができない
- 人指指・中指・薬指の3本を縦にして口に入れられない
- 時々、アゴが引っかかるような感じがして動かなくなったりする
- 鏡の前で口を開けると、斜めに開いてしまう
- アゴの先端が左右どちらかに傾いている
- 左右の歯のかみ合わせがアンバランスである
- 片側の頬の内側の肉を、よく噛んでしまう
- 頭痛、肩こり、めまいが最近良く起こるようになった
顎関節症が回復するまでの期間
重症度によって差はありますが、おおよそ1か月~3ヶ月程度と言われています。
それ以上の期間が経っても改善が見られない、あるいは悪化していくようであれば歯科医院などの医療機関に相談される事をお勧めいたします。
その際に、鍼灸・整体などの東洋医学も併用されると改善も、より早いかと存じます。
(当院は、顎関節症による痛み、あるいは開口障害の整体による施術を非常に得意としております。危険もなくソフトで気持ちの良い施術法で、お受けいただいた皆様に好評を頂いております。)
顎関節症の症状
顎関節症の主な症状としては
- アゴの痛み(開閉させる時に痛みが出る)
- 口が開きにくい(開口障害)→口を開いた時に、指をタテにして3本入らない。
- アゴを動かす時に音がする
- かみ合わせに違和感を感じる(固い食べ物が食べられない。)
の4つです。
その他にも、
- めまい、耳鳴り、耳がつまった感じ
- 頭痛や首、肩、背中の痛み、腰痛
- 嚥下困難、呼吸困難、四肢のしびれ、歯の痛み、舌の痛み、口の渇き
などが起こる場合もあります。
顎関節症の原因
大きく分けると
- あごを動かす筋肉の硬縮が原因となるもの(咀嚼筋障害)
- 顎関節の関節自体の炎症が原因となるもの(関節包・靱帯障害)
- 顎関節の中の関節円板(顎関節の骨と骨の間にあるクッションの役割をしている組織)のズレによって生じるもの(顎関節円板障害)
- 顎関節を構成する骨の変形によって起こるもの(変形性顎関節症)
があります。
これらは日常のストレスや緊張による「歯ぎしりによるアゴ周りの筋肉の恒常的な緊張」あるいは「歯のかみ合わせのアンバランス」「歯の欠損や親知らずによるもの」「関節リウマチ」スポーツによる外傷、また日常の不良姿勢、頬杖や片噛みのクセ(片噛み側の方の口角が上がっている事が多いです。またそちら側のほうれい線が深くなります。)趣味や習い事による影響(バイオリンなど長時間首を傾けたりするような動作)によっても起こります。
多くの場合、原因は1つだけではなく、複数のものがいくつか絡み合って症状が出るという事が多いようです。
顎関節症の西洋医学的な治療法
歯科医院では一般的に、まずスプリント(マウスピースのようなもの)を上あごあるいは下あごにいれ、上下の噛み合わせを均等にする事が多いようです。
(歪みを整える事によって顎関節が正しい位置に戻り、周りの筋肉の異常緊張が取れるからです。)
さらにクラウンと言うかぶせ物などを入れたりして微調整を行なう所もあるようです。
痛みが強い場合には消炎鎮痛薬の投与やレーザー照射、あるいは電気刺激をすることで筋肉を自動的に収縮させて血液の流れを改善する事もあります。
その上で、「顎関節や周りの筋肉への負担を減らすため、硬い食品や長時間の咀嚼は避ける、頬杖をやめる、猫背などの姿勢をよくする、また仕事中や休息時に上下の歯が接触していることに気付いたら歯を離すようにする、強い心理的な緊張を感じる環境があれば、それを避ける」などの日常生活での指導を行ない、それでも改善が見られない重症の場合は、手術による治療を行う事もあるようです。
顎関節症の鍼灸・整体による東洋医学的な治療法
整体では、顎関節症に対しては骨盤や背骨など全身の歪みを整えた後に、アゴの奥にある「調整ポイント」に対してアプローチ致します。
症状の出ている方は、ほぼ必ずこの部分に”硬結”が出来ておりますので、これを「側頭部・鎖骨・肩関節・首の横の斜角筋」などの反射ポイントに刺激を与えて緩める事によって、初回からでも驚くほど口の開きが楽になられる場合が多いです。
(効果が高いうえに、非常にソフトで気持ちの良い施術で、多くの患者様から好評を頂いております。)
鍼灸に関しましては、身体の側面のラインの連動ポイントである「丘墟・シトク」などのツボ、そして脊柱全体の調整に関係する「外関・ヨウホ」などのポイントに対して鍼刺激を加えつつアゴの開閉を行って頂くと
その場で、開きが楽になりアゴの開閉の軌道が中心によってくる方が多いです。
顎関節症の改善エクササイズ
顎関節症は「頭蓋骨の歪み」とも関わっていますので、放っておくと眩暈や頭痛、首や肩の激しい痛みの原因にもなる場合があります。
(整体では、うつ病の方に顎関節症が多いのも、実はストレスからくる頭の歪みが関係しているからである、と考えられています。)
是非こちらの体操を毎日行って、改善・予防をされてください。
準備体操
口を大きく開けた状態で、アゴの下に手を当てて口を開く動きに対して抵抗運動を加えます。(10回)
↓
次に横からアゴを手で押さえて、アゴを左右に動かす動きに対して、抵抗運動を加えます。(左右10回)
↓
唇の下に手を当てて、アゴを前に出す動きに対して抵抗運動を加えます。
顎関節症改善エクササイズ
口を大きく開きます。
↓
その状態で下アゴを前後に大きくゆっくりと動かします。(10回×2~3セット)
↓
次に、左右に下アゴを大きくゆっくりと動かします。(10回×2~3セット)
↓
右斜め前、左斜め後ろの方向に下アゴを大きくゆっくりと動かします。(10回×2~3セット)
↓
左斜め前、右斜め後ろの方向に下アゴを大きくゆっくりと動かします。(10回×2~3セット)
↓
最後に右回り、左回りに下アゴを大きくゆっくりと動かします。(10回×2~3セット)
◎動かしたり、回したりしているうちに引っかかる部分や動かしにくい部分が感じられるようになると思います。その場合、動きにくい部分に対して、細かく抵抗運動を与えてあげると良いでしょう。
◎これらの動きは、全てなるべく大きく口を開けた状態で行なうようにしましょう。
◎鏡の前で定規を持ってきて口の開き具合を毎日計測するようにすると、変化を感じられますのでモチベーションがアップします。
顎関節症を引き起こしやすい生活習慣
以下のような生活習慣を続けていると、再発しやすくなります。
心当たりのある方は、一度チェックされて避けるように心がける事をお勧めいたします。
- 日中、気がつくと歯をくいしばっている事がある
- 職場や家庭などで、ストレスを感じることが多い
- 歯科医院で「歯ぎしりをしている」といわれたことがある
- 歯をカチカチ鳴らす癖がある
- 食事の時、いつも左右のどちらか決まった側でかむ事が多い
- 歯並びやかみ合わせがよくない
- 寝付きが悪くグッスリ眠れない、途中で目が覚める
- うつぶせ寝の習慣がある